骨材
産地による区分
天然骨材
- 山地・陸地から採取された骨材。
- 河川から採取される骨材。粒が丸みを帯びており、粒形が比較的揃っている。
- 海底から採取された骨材。塩分を含むため、洗浄処理が必要。
天然骨材は採取場所によって含まれる成分が異なります。この成分の違いは骨材としての品質に結び付き、コンクリートなどの品質にも影響を与えます。
砕石
砕石は天然の岩石を人工的に粉砕するため、角ばった形状をしています。角があるため他の砕石としっかり噛み合い、踏み固めることで地盤がしっかりと締まる特徴があるため、コンクリート用骨材の他、路盤材や基礎材として広く使用されています。
人工骨材
人口骨材は人為的に作られる骨材です。下記に代表的なものを記載します。
- 高炉スラグ骨材:溶融炉でせん(銑)鉄と同時に生成する溶融スラグを冷却して粒度調整したもの。
- 銅スラグ細骨材:炉で銅と同時に生成する溶融スラグを水で急冷して粒度調整した細骨材。
- 溶融スラグ骨材:廃棄物を焼却した際にでる焼却灰を溶融して硬化。
再生骨材
再生骨材は解体したコンクリート塊を破砕・粉砕などの処理をして、コンクリートの材料として再利用できるようにした骨材です。再生骨材はコスト削減に役立つだけでなく、リサイクルにより持続可能な開発にもつながります。
上記以外に重さによる区分として軽量骨材や重量骨材もあります。これらはコンクリートに使用することで軽量コンクリート、遮蔽用コンクリート(放射線の散逸を防ぐ目的のコンクリート)などに活用されています。
骨材の品質
骨材の品質はコンクリートなどの物性に大きく影響する非常に重要な要素です。
1. 物理的・化学安定性
骨材は高温・低温、湿潤・乾燥などの外部環境に晒されるため、容易に変形が生じてしまわない物理的な安定性が必要です。
また、コンクリート中は強アルカリ環境下となるため化学的に安定していることも重要です。
JIS A 1145「骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(化学法)」で骨材のアルカリシリカ反応を判定するための試験方法が規定されています。
アルカリシリカ反応とは
コンクリート中のアルカリ成分と骨材の反応性シリカが化学反応を起こし膨張性のゲルが生じる現象です。この反応により膨張性のゲルがコンクリート内部に有害なひび割れ発生させる恐れがあります。なお、実際のモルタルバーを用いて試験をするJIS A 1146「骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(モルタルバー法)」も規定されています。
2. 強度と耐久性
骨材の強度はコンクリートの強度を左右する一因になります。
コンクリート中の骨材強度が小さいと、骨材が先に壊れてしまうため、しっかりとした強度、また、風化を防ぐ耐久性が必要です。
3. 粒度・粒形
粒形がよい骨材(丸みを帯びた形状)は生コンの流動性が向上します。
粒度とは粒子の大きさの構成割合のことです。
適切な粒形と粒度分布はコンクリートの流動性や型枠への充填性、材料分離に影響します。
JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」によって粗骨材の粒度(最大寸法,粗粒率)が求められます。
4. 不純物の有無
陸砂や山砂には植物の腐敗などにより生じた有機不純物が含まれることがあります。
有機不純物はセメントの水和反応を阻害し硬化不良の原因となってしまいます。
JIS A 1105「細骨材の有機不純物試験方法」で細骨材中の有機不純物量を調べるための試験方法が規定されています。
また、海砂には塩分が含まれます。塩分は鉄筋コンクリート中の鉄筋の錆に繋がるため、しっかりと洗浄する必要があります。
骨材の状態
含水状態
骨材の含水状態は「絶乾状態」「気乾状態」「表乾状態」「湿潤状態」の4つに区分されます。
- 絶乾状態 105℃の温度で一定の質量になるまで乾燥し、骨材中に水分がほとんどない状態
- 気乾状態 骨材を空気中で乾燥させ、骨材内部に一部水を含む状態
- 表感状態 骨材の表面のみが乾燥しており、内部は水で満たされている状態
- 湿潤状態 骨材の表面に水があり、内部も水で満たされいる状態
吸水量・含水量・表面水量
コンクリートの配合においては表乾状態が基準となります。実際の骨材が表乾状態ではない場合は、吸水量や表面水量を補正する必要があります。
- 吸水量 絶乾状態から表乾状態までに含むことができる水の量
- 含水量 絶乾状態から湿潤状態までに含むことができる水の量
- 表面水量 骨材表面に付着する水分量
実績率
骨材の実積率とは骨材が容器に詰められたとき、どれくらい隙間なく詰めることができるのかを表し、骨材の粒形判定に用いられます。
実積率 = (骨材の絶対容積 / 容器の容積) × 100%
実積率が高いほど骨材が隙間なく詰まっていることを指し、骨材の粒形がよいことを示します。
一方、骨材が扁平であったり角ばっていたりすると隙間が多くなる=実積率が低くなります。
粗粒率
骨材の粒度を表す指標が粗粒率です。粗粒率が大きい場合、粒径が大きい骨材の割合が大きいことを示します。
粗粒率はふるい分け試験により求められます。
決められた網目のふるい(80,40,20,10,5,2.5,1.2,0.6,0.3,0.15 の10種類)を用意し、各ふるいとどまる骨材の全体に対する質量分率の合計を100で割って算出します。骨材の最大寸法は質量で90%以上が通過するふるいの中で、最も小さいふるいの呼び寸法を指します。
骨材の使用場所
1. コンクリート骨材として
コンクリートの約7割が骨材で構成されており、骨材の使用用途で最も大きな割合を占めているのがコンクリート用骨材です。コンクリートは水とセメントの水和反応で硬化するため骨材が直接的な要因ではありませんが、コンクリート中の骨材は重要な役割を担っています。
ひび割れの抑制
水和反応で生じる発熱によりひび割れが発生する場合があります。また、コンクリートの硬化後、乾燥により水分が減ることで収縮しひび割れが発生してしまうことがあります。骨材が入ることでセメント使用量が減り、これらのひび割れの発生を抑制する効果があります。
2. 舗装用骨材として
路盤材は舗装の下に敷かれる材料のことです。
- 荷重を分散して地盤に伝える
- 舗装の変形
- 沈下を抑制する
舗装の土台として蒸気などの重要な役割を担っています。
路盤材は砕石、再生路盤材(コンクリートやアスファルトの再生骨材)が用いられることが多いです。
3. 構造物の基礎や排水層として
砕石は側溝などの小規模構造物や大規模構造物でも基礎材として使われています。地盤を安定させ、構造物の荷重を分散させる役割を持ちます。また、擁壁の裏側などに排水層として設けられます。砕石の隙間を水が通ることで構造物に水圧がかかることを防ぎます。また、安定性の向上にも寄与しています。