
普段から利用している「道路」。通勤や通学、買い物、物流など、私たちの暮らしは道路によって支えられています。そんな身近な道路でも、今、脱炭素化が大きく進められていることをご存じでしょうか。
近年、豪雨や猛暑などの異常気象が増え、「脱炭素」や「カーボンニュートラル」という言葉を耳にする機会も多くなりました。その流れは道路分野にも広がっており、道路の整備・管理のあり方そのものが変わりつつあります。
令和7年(2025年)の道路法改正により、道路の脱炭素化は法律上の重要な施策として位置付けられました。国は「道路脱炭素化基本方針」を策定し、国や自治体、高速道路会社が一体となって脱炭素化を進めるための新たな仕組みづくりを進めています。
本記事では、道路分野で脱炭素化が求められる背景と、建設業界に関わる具体的な取り組みについて分かりやすく解説します。
なぜ道路分野で脱炭素が必要なのか
道路分野で脱炭素化が求められる最大の理由は、「気候変動の深刻化」です。
国土交通省の資料によると、日本の年平均気温は長期的に上昇しており、100年あたり約1.4℃のペースで上昇しています。さらに、21世紀末には、対策の状況によって平均気温が約1.4〜4.5℃上昇する可能性があるとされています。
また、「これまで経験したことがない集中豪雨」という言葉を耳にする機会が増えました。道路は豪雨による土砂災害、橋梁の損傷、冠水などの影響を直接受けるため、気候変動は道路にとって極めて重大な課題です。
さらに、日本全体のCO₂排出量のうち、道路分野が約18%を占めているとされています。脱炭素社会を実現するには、道路分野における取り組みが欠かせないことが分かります。

※資料1 P3抜粋
「道路法の改正」 と「道路脱炭素化基本方針」
令和7年4月16日に公布された「道路法等の一部を改正する法律」が施行され、道路法の一部が改正され、第一条:基本理念には下記の文言が追加されました。
道路の脱炭素化の推進等により環境への負荷の低減に配慮しつつ、道路の整備及び管理を効率的かつ効果的に実施し、並びに道路の適正かつ合理的な利用を促進し、併せて道路 の防災に関する機能を確保すること
引用元:道路法 第一条第2項:基本理念(本文抜粋)
第一条の改正は1952年道路法制定以来初めてとなります。
法律面から脱炭素化を進めることが決定されたことにより、一過性ではなく、継続的で実効性の高い取り組みとして進めやすくなりました。
また、今回の改正では道路脱炭素化に加え、能登半島地震を踏まえた防災機能の確保、道路の修繕・維持管理の持続可能性といった複合的な課題に対応する法改正となっています。
「道路脱炭素化基本方針」と「道路脱炭素化推進計画」
国土交通省は道路法の改正をうけ「道路脱炭素化基本方針」を発表し(令和7年10月)道路分野で脱炭素化をどう進めるか、国としての基本的な方向性が示されました。

※資料1 P7抜粋
また、この基本方針に沿って、「道路脱炭素化推進計画」が策定されました。
「道路脱炭素化推進計画」は、基本方針をもとに、国・地方自治体・高速道路会社などの道路管理者が協働して脱炭素化を促進する新たな枠組みとして法的に導入されました。これにより、国が示す方針だけでは難しい、より具体的・実効的な脱炭素の取り組みがすすめやすくなる見込みです。

※資料1 P5抜粋
「道路脱炭素化基本方針」の重点施策
基本方針では、以下の4分野が重点施策として位置づけられています。実際には、すでに具体的な取り組みが進められています。

※資料1 P2抜粋
1.道路のライフサイクル全体の低炭素化
道路をつくる段階や管理する段階でCO₂削減を目指します。
主な施策として、LED道路照明の導入、管理車両の電動化、再生可能エネルギーの活用、低炭素型アスファルトの導入、低炭素型コンクリート製品の活用、GX建設機械の導入などが挙げられます。
建設業界にとっては特に、使用する材料や建設機械の環境性能が重要になります。
2.道路交通のグリーン化を支える道路空間の創出
道路を単なる交通インフラではなく、「エネルギーインフラ」として活用する考え方です。
具体的には、道路空間における発電・送電(太陽光発電設備)、給電(EV急速充電器や水素ステーションの設置など)、蓄電(蓄電池の導入)などの取り組みを、関係省庁と連携して推進します。
3.低炭素な人流・物流への転換
自動車以外の移動手段や効率的な物流への転換を推進します。
具体例として、自転車利用促進、シェアサイクル、モビリティハブ整備、ダブル連結トラック、自動物流道路などが挙げられます。
特にダブル連結トラックは、通常の大型トラック2台分の輸送を1台で担うことができ、CO₂排出量を約4割削減できるとされています。
4.道路交通の最適化
渋滞対策も脱炭素化の重要な施策です。
車は停止と発進を繰り返すほど燃費が悪化するため、交差点改良、車道増設、ボトルネック(踏切など)の解消、ETC2.0の活用などが進められています。
建設業界に求められる変化
工事の発注段階からも脱炭素が進められています。
国土交通省では「土木工事の脱炭素アクションプラン」を策定。新設道路においても温室効果ガス排出の削減や環境負荷の低減が重要なテーマとなっています。
「脱炭素アクションプラン」では3つのリーディング施策が定められました。
・建設機械の脱炭素化|エネルギー効率向上、次世代燃料の使用促進 など
・コンクリートの脱炭素化|低炭素型コンクリートの使用原則化 など
・その他建設材料の脱炭素化|脱炭素化材料の研究開発、導入環境整備 など
特に道路構造物やコンクリート製品は、道路整備において使用量が多く、その製造過程で発生するCO₂も決して少なくありません。そのため、同じ性能を確保しつつCO₂排出量を削減できる低炭素型素材の需要はますます高まっています。

※資料4 報道発表資料を引用
低炭素型コンクリート
道路分野の脱炭素化を実現するには、LED照明やEV充電設備の整備だけでなく、道路を構成する資材そのものを低炭素化していくことが不可欠です。その手段の一つとして、低炭素型コンクリートの活用があります。

当社で製造するコンクリート製品は、低炭素型コンクリート「Locacon(ロカコン)」を使用しています。
低炭素型コンクリート「Locacon」は、コンクリート中に使用するセメントを、製鉄所から排出される高炉スラグ微粉末で置き換え、セメント使用量を減らすことでCO₂排出量の大幅な削減を実現しました。
これにより、従来の”すべてセメントで製造する製品”と比較し、CO₂を約60%削減できます。
具体例として、当社の道路用L型擁壁「ハイパーロードL型」H1000Aを100m施工した場合のCO₂削減量を試算すると、約2,400kgのCO₂削減が見込めます。

もちろん、道路分野の脱炭素化は一つの製品だけで完結するものではありません。しかし、道路整備に使用する資材そのものの環境性能を高めることは、脱炭素社会の実現に向けた重要な取り組みの一つです。
公共工事やインフラ整備においても、今後はこうした低炭素型資材の採用がますます重要になると考えられます。
まとめ
道路の脱炭素化は、道路法改正によって「これからの道路整備に欠かせない視点」として明確に位置付けられました。今後は、安全性や経済性に加え、CO₂排出量の削減や再生可能エネルギーの活用といった観点が、計画・設計・施工・維持管理のあらゆる段階で求められます。
そうした中で、コンクリート製品などの資材を低炭素型に切り替えることは有効な取り組みであり、当社の低炭素型コンクリート「Locacon(ロカコン)」はこのニーズにお応えできるブランドです。
道路分野の脱炭素化や低炭素型資材の活用にご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
引用・出展
資料1:国土交通省「道路分野の脱炭素化政策集 Ver.2.0(令和7年10月)」
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/utilization/datutannsoka/cn.html
資料2:国土交通省「「道路法等の一部を改正する法律案」を閣議決定~安全かつ円滑な道路交通の確保と道路分野の脱炭素化の推進に向けて~」
https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001886.html
資料3:国土交通省「道路管理者が協働して脱炭素化を促進する枠組みの始動~「道路脱炭素化基本方針」の公表・「道路脱炭素化推進計画」の策定支援~」
https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_002000.html
資料4:国土交通省「国土交通省土木工事の脱炭素アクションプランを公表しました!~建設現場のカーボンニュートラルに向けて~ 報道発表資料」
https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001200.html